見聞諸家紋を読む(1)


 『見聞諸家紋』は、一名を「東山殿御紋帳」ともいわれる通り、室町幕府八代将軍足利義政の頃の将軍家を初めとして、守護大名から国人層に至るまでの諸家二百六十ほどを次第不同に収録したもので、武家家紋の研究には欠かせない史料としてつとに有名である。
 ここでは、宮内庁書陵部に蔵されていた、新井白石の筆写した『諸家紋尽』と呼ばれていたものをみてみたい。全部で四十七張(裏・表で全94頁)に分かれている。
●原典には意匠しか掲載されていないため、家紋それぞれの呼称は播磨屋が家紋関係の書物より調査して付したものです。

●第一張
二引両 五七の桐  足利将軍
 
●第二張
吉良 渋川 石橋
 以上三家下馬衆と号す
斯波 細川 畠山
 以上三管領也
上野 一色 山名 新田 大館 仁木 
今川 桃井 吉見
●第三張
桔梗   土岐
松皮菱  武田

 
●第四張 
唐花菱    武田大膳大夫賢信
雲に左三つ巴 奉公一番衆曽我
二つ引両に左三つ巴
       具平源氏
       赤松兵部少輔政則
四つ目結   宇多源氏佐々木大膳入道生観
七宝に花菱  雲州佐々木凡此輪違也塩冶
揚羽蝶    伊勢平氏
●第五張
対い蝶    平氏伊勢守貞親
竪三つ引両  三浦介
九曜     月星千葉介
右巴     宇都宮
左巴     小山
       結城左近将監
       土肥右馬助清平
       山下孫三郎秀忠
●第六張
        沼田弥太郎
欄干丸に違い鷹の羽
        善相公清行の末評定衆
        町野左近将監敏康
七曜      利仁将軍の末富樫介泰高
格子文に二つ引 遠山
木瓜に二つ引  富永
三階菱     小笠原
●第七張
三つ盛菊    設楽三郎貞清
扇に日の丸   佐竹和泉入道
唐花      大内
二つ遠雁    井上右京亮貞忠
丸に三つ寄せ五三の桐  進士
折敷に三の字  越智氏河野
●第八張
葉牡丹    摂州源氏田能村  佐分
並び鷹の羽  菊池
菊水     橘氏
       同姓和田
呼称不詳(注1)  中島弥六
吉に二つ星  三吉
十の字    嶋津
●第九張
大の字    金子左京亮
       高橋大宅氏
杏葉     大友豊後守親繁
銭九曜    長弥九郎泰連
三つ引両   伊勢長野
       備中庄 吉川
山形村濃   評定衆二階堂大夫判官政行
三つ盛亀甲花菱 二階堂替紋
●第十張
三つ目結    二松 飯田
抱き杏葉    評定衆摂津修理大夫之親
        田村
一文字三つ星  長井
        毛利 竹藤 萩
三つ星に吉の字 安芸毛利
杏葉
●第十一張
三つ星    本郷
竪二つ引両に鳳凰 
       評定衆波多野因幡守通弘
カコの遠雁  奉行飯尾左衛門大夫之種
カコ     佐波民部大輔元連
角巴     杉原
一の字    中条
●第十二張
丸に竪一つ引両 中条替紋
銭九曜   市
総角    三吉氏奉行布施下野守貞基
      橘家丹下
竪二つ引両 宗家神保
弦巻    和衆吐田
輪     吹田
●第十三張
巴九曜   右京大夫勝元被官香河五郎次郎和景
      越後長尾
六つ木瓜  尾張守政長被官遊佐河内守
日月    嵯峨源氏渡辺
三つ星一文字 曽根崎渡辺
三つ星   中屋渡辺
丸に四つ石 細川被官紀氏安富又三郎元家
●第十四張
      橘氏矢野
      平氏梶原
庵に久文字 石州三隅
庵に洲浜  橘家讃州長尾(北)
鱗巴    山田道祖千代丸
檜扇    紀氏殖田衆
釘抜    三上
●第十五張
轡に松皮菱  大草伊賀守公延
轡に梅鉢   久世九郎
九つ目結   斎藤本庄
足長洲浜   安芸宍戸
洲浜に山文字 陶山
井桁     甲斐
●第十六張
剣花菱   多々良氏奈良
上文字   村上
      屋代
一文字   山内
花菱    細川讃岐守成之被官東条
三つ星   饗庭
組み直違い 松田幸松丸
●第十七張
二つ引両  三淵
手鞠に輪鼓 内藤弾正忠元貞
三つ盛巴  丸豊前七郎朝達
亀甲に酢漿草二月文字 小田又次郎知憲
籬架菊   逸見駿河入道
井文字   遠州井伊
●第十八張
梅鉢      松任修理亮利慶
裏梅鉢     和州筒井
割り六曜に唐花 萱生
一番      久下
撫子      丹波葦田
呼称不詳(注2)   疋田
●第十九張
丸の字   安東
梶の葉   丹比
対い立鶴  楢葉右京亮
合子に箸  蜷河
三つ積巴  芝山三河守持嗣
三つ盛亀甲 深矢部次郎左衛門尉行名
●第二十張
檜扇      広戸次郎直弘
二つ木瓜に庵  海老名与七政貞
並び木瓜    岩城中務丞宗直
丸に竪二つ引両 川原修理亮
三つ盛酢漿草  肥田助太郎政季
三つ盛酢漿草に二つ引両 中澤
●第二十一張
竹の丸に亀甲 朝倉下野守
新月     月山右京亮
対い鳩    足助与次郎
寄掛り目結  武藤右京亮信用
雲月に舞鶴  佐脇五郎明房
対い鳩    小島駿河入道
●第二十二張
抱き杏葉  飯河遠江守
団扇    粟生田次郎左衛門尉経行
違い鷹の羽に宝結  後藤左京亮
升形に右三つ巴   山下右京亮
升に唐花  松田助太郎頼済
丸に対い蝶 西山三郎左衛門
      河内
●第二十三張
合子に箸      遠山 安木
抱き柊       安威新左衛門尉賢脩
松喰い鶴      波々伯部彦次郎賢豊
花輪違いに剣花菱  彦部
並び鶴?      小串 進藤 阿波大西
●第二十四張
三つ合せ貝  西郡
六つ葉柏   朝日
       清和泉守
軍配団扇   真下
寓生に鳩   熊谷
丸に丹一文字 丹治氏岩田
雲月     斎藤 望月
■第二十五張〜第四十七張へ

【別冊歴史読本-日本紋章総覧より引用】

戦場を疾駆する戦国武将の旗印には、家の紋が据えられていた。 その紋には、どのような由来があったのだろうか…!?。
由来ロゴ
家紋イメージ




応仁の乱当時の守護大名から国人層に至るまでの諸家の家紋 二百六十ほどが記録された武家家紋の研究には欠かせない史料…
見聞諸家紋
そのすべての家紋画像をご覧ください!

日本各地に割拠した群雄たちが覇を競いあった戦国時代、 小さな抗争はやがて全国統一への戦いへと連鎖していった。 その足跡を各地の戦国史から探る…

諸国戦国史

丹波播磨
備前/備中/美作
鎮西常陸


地域ごとの戦国大名家の家紋・系図・家臣団・合戦などを徹底追求。
戦国大名探究
………
奥州葛西氏
奥州伊達氏
後北条氏
甲斐武田氏
越後上杉氏
徳川家康
播磨赤松氏
出雲尼子氏
戦国毛利氏
肥前龍造寺氏
杏葉大友氏
薩摩島津氏
を探究しませんか?

2010年の大河ドラマは「龍馬伝」である。龍馬をはじめとした幕末の志士たちの家紋と逸話を探る…。
幕末志士の家紋
龍馬の紋
これでドラマをもっと楽しめる…ゼヨ!