■小笠原氏-麾下の紋

『溝口家記』に記された小笠原氏麾下の紋をみると、「御家中添文」は、そのほとんどが、松皮菱に別の紋を組み合わせている。「御宿老衆幕之文」は、それぞれ独自な紋を用いている。このことから、武家における一族・一門、被官の紋のあり方がうかがわれる。また、『溝口家記』に記された紋は、『羽継原合戦記』に記された信州諸武士の紋と見事に符合している。
*家紋の意匠は、奈良井宿でみかけた「松皮菱に梶の葉紋」を参考にした。

●『羽継原合戦記』に記された紋(抜粋)
地黒菱は板垣。松皮に釘貫は阿波の三好かもん也。一宮は日雲也。左巴は下枝の紋。まひ違い雁は櫛置のもん。下条は梶の葉。折野は木瓜。板西は丸のうちにまつかはのもん也。山中は日扇。溝口は井桁。但三葉かしを打事も有。高畠は違かふら矢。二木はちきりを打。松岡は瓜のもん也。赤沢は松皮に十文字。九曜星は標葉也。山辺。西牧は梶の葉を打。犬甘平瀬島は一党石畳 後聴其外。
 



■御家中添文









左上から●松皮に十文字 赤沢●松皮に梶の葉 下条●松皮に九曜 標葉●松皮に左巴 下枝●地黒の松皮 於曽●松皮に舞遠雁 櫛置●松皮に木瓜 折野●丸の内松皮 坂西●松皮にちきり 二木●松皮に檜扇 山中●松皮に井桁 溝口●松皮に釘貫 三好●松皮に鏑矢 高畠●松皮に日雲 一宮●松皮に地黒菱 板垣●松皮に筋違棒引 島立  

■御宿老衆幕之文





左上から●石畳 犬甘・平瀬・島●舞違の鶴 後庁●梶の葉 山辺・西牧●瓜 松岳(松岡)●揚羽蝶 仁科●上文字 村上